喉と手の乾燥が気になり始めた11月頭、加湿器を買うかでどうか悩んでいました。
うちにある加湿器は加湿空気清浄機のみ。
去年の冬まではこれで凌いできたのですが、1つ困ったことがありました。
それは…
臭い!
とにかく臭い!
フィルターを替えても、分解してクエン酸漬けにしても臭いが取れない! ぐわーーっ!!
どうやら雑菌がもりもり繁殖してしまったようで、もう何をしても臭いが抜けない状態に…
臭すぎて体調が悪くなります。
そんな事情で、雑菌が増えにくくて洗いやすい加湿器が欲しかったのです。
が、条件に合うものはどれも結構なお値段。
最近ふところが寂しいので躊躇してしまいます。
こんな感じでうじうじ悩んでいたある日、風邪をひいてしまいました。
喉が焼けるように痛くなって、これは耐えられない!
勢いに任せて象印のスチーム式加湿器 EE-DF50 をポチっとしちゃいました。
お値段は2万円!(ひえ〜っ)
ですが、値段に見合う価値はありましたよ〜!
機能
かんたんスペック表
| 方式 | スチーム |
| 蒸気温度 | 65℃ |
| タンク容量 | 4L |
| 部屋のサイズ上限 | 8畳(木造和室)/ 13畳(プレハブ洋室) |
| サイズ | 240 x 275 x 365 |
| 本体重量 | 2.9kg |
細かい便利機能については別で説明するとして、スペックをかんたんにまとめるとこんな感じになります。
まず、スチーム式なので雑菌が繁殖せず、とっても衛生的! これで悪臭からはおさらばできるでしょう。
蒸気は2秒ほど手をかざすと 熱っ てなるくらいの温度です。 やけどのリスクが低くていい
本体サイズは結構大きめです。 小さめのパイプスツールくらい
水を満タンまでいれると6.9kgになるので結構ずっしりきますが、しっかりしたハンドルがついているので持ち運びやすいです。
省パーツ&クエン酸洗浄で簡単お手入れ
他の加湿器と比べて、 圧倒的にパーツ数が少なくてお手入れしやすい です!
さらにありがたいことに、 公式でクエン酸洗浄に対応 しているのです。 スポンジでゴシゴシする必要がなくなり、お手入れのストレスがぐんと減ります。
クエン酸は象印から専用のものが販売されていますが、ちょっとお高め。
ポット用と加湿器用で違いはない みたいなので安いポット用を使うといいと思います。
安全機能がたくさんついている
他社製品にもある「チャイルドロック」「ふた開閉ロック」「空焚き防止」「マグネットプラグ(足引っ掛けたらコードが抜ける機能)」「転倒時自動オフ」といった基本の安全機能に加えて、僕が象印を選ぶ最大の決め手となった「転倒時湯もれ防止」 が搭載されています。
「転倒時湯もれ防止」は加湿器が倒れてもお湯がちょっとしか漏れないよという機能です。 本体重量が結構あるのでそうそう倒れることはない思いますが… 地震の時とかを考えると欲しい機能です。 机の下に隠れながらアチアチしたくないので
部屋の湿度と温度に基いた運転制御
温度・湿度センサーを搭載しており、ちょうどいい湿度に調整してくれる自動運転モードが使えます。
| ひかえめ | 標準 | しっかり | |
|---|---|---|---|
| 体感湿度 | 40% | 50% | 60% |
自動運転モードには ひかえめ・標準・しっかり の3つあり、それぞれ体感湿度が違う… と取扱説明書に書かれていたのですが、体感湿度ってなんなんですかね? 調べても見つからなかったのでのちほど検証してみましょう。
使用感
まだ使用開始から1ヶ月も経っていませんが、満足度はめちゃくちゃ高いです!
喉も手もしっかり潤っているのを感じます。 去年までは、ハンドクリームを何回塗ってもあかぎれが大量にできて苦しんでいたのですが、今年はまだ 1つもできていません。快適〜♪
水の入れ替えもタンク容量が大きいおかげで、2,3日に1度で済んでいます。
さらに、加湿によって体感気温が上がることと加湿器からの発熱によって結構部屋が温まります。 部屋のサイズや建物のつくりによっても違うかもしれませんが、暖房がいらないくらい十分暖かいです。 電気代が高いというレビューが少し気になっていたのですが、暖房代わりになることを考えると悪くないかな
音は多少しますが、眠りを妨げるほどではないです。
ただ、ひとつ気になるところがありまして…

加湿器を窓から30cmくらいに置いていたところ、 加湿が止まらなくなる という現象が発生しました。
窓際の冷たく乾燥した風が加湿器のセンサー部に吹き込むことで起きるのでしょうか?
窓から距離を開けてからは発生していませんが、設置場所に気をつける必要がありそうです。
調査
さて、体感湿度がいったいどれほどなのかを調べる前に、そもそも 理想の湿度がどれほどか を知っておきたいところです。 ところが、理想の値はサイトによってばらばらで、しかもちゃんとしたソースが示されていません。 これでは信頼できませんね。
この加湿器の性能評価をするうえでも、自分の健康のためにも重要なことですので、いくつか論文をあたってみました。 もっとも、私は専門家ではないので参考程度ですが…
結果だけみたい場合は 調査結果 まで飛んでくださいね〜
インフルエンザ対策には絶対湿度が11g/m³が必要なのか?
「インフルエンザは絶対湿度が11g/m³以下のときに流行しやすくなるので、対策には部屋の絶対湿度を11g/m³以上にするとよい」といった旨の記述が散見されます。
しかし、「11g/m³以下で流行しやすくなる」からといって、「11g/m³が対策効果の現れる境目」だとは言えないはず。
そこで調べてみると、庄司眞による「季節とインフルエンザの流行」公衆衛生研究 に、絶対湿度とインフルエンザウイルスの生存率に関するデータがありました。
| 絶対湿度(g/m³) | 6時間後の生存率 |
|---|---|
| 17〜 | ほぼ0 |
| 9〜11 | 3〜5 |
| 〜5 | 35〜66 |
表にまとめるとこんな感じで、絶対湿度が9〜11g/m³なら、6時間後のインフルエンザウイルスの生存率が3〜5%である ことがわかります。 となると、室内のインフルエンザ対策としては、必ずしも11g/m³まであげなくとも 9g/m³もあれば十分効果が期待できる んじゃないかと思いました。
カビ対策には相対湿度を何%以下にすれば良いのか?
ネットで調べると「60%以下」「70%以下」「80%以下」と情報がバラバラです。 しかも、室温に関する情報はあまり書かれていなかったので、部屋が寒ければそれほど問題ないんじゃないかと思いました。

小峯裕己と倉渕隆「住宅室内のカビ汚染と防止に関する研究」日本建築学会計画系論文集 より引用
調べてみるとこんなデータが見つかりました。 横軸が相対湿度で縦軸が室温、黒い部分がカビの発生が確認できた領域です。
思った通り、室温20℃以下なら 相対湿度90% くらいまでいけるみたいです。
もっとも、相対湿度90%なんてジメジメして仕方ないでしょうがね
ダニ対策は相対湿度60%以下でいいのか?
「ダニは相対湿度60〜80%で繁殖するので60%以下に抑えましょう!」と書かれたサイトが多くありますが、60〜80%で繁殖するなら50%でも十分増えるのではないかと思いました。

MJ Colloff「Effects of temperature and relative humidity on development times and mortality of eggs from laboratory and wild populations of the European house-dust mite Dermatophagoides pteronyssinus (Acari: Pyroglyphidae)」Experimental & applied acarology より引用
調べてみるとこんなグラフが見つかりました。 横軸が相対湿度で縦軸がダニの卵の死亡率です。
加湿器(+暖房)をつけた冬場の室温は10℃後半から20℃前半くらいでしょうから、相対湿度55%で死亡率60%、60%で40%になります。
1匹のダニは100個の卵を産む らしいので死亡率60%でも普通に増えるよな〜 と思いました。
ダニ対策は湿度のコントロールよりも、布団乾燥機や電気毛布のダニ退治機能でやる方がよさそうですね。
調査結果
- インフルエンザ対策には 絶対湿度9g/m³以上 でよさそう
- カビ対策には 相対湿度90%以下 でよさそう
- ダニ対策は別の方法でやった方がよさそう
現実的に、冬に加湿器を使う上で気にするべき点は「絶対湿度9g/m³以上」くらいだと思います。
検証
ひかえめ・標準・しっかり の3モードで、夜7時ごろから12時間にわたって室温・相対湿度・絶対湿度・消費電力を計測しました。 水は満タン、部屋のサイズは木造4.5畳です。
計測には以下の温湿度計とスマートプラグを使いました。
室温
「ひかえめ」と「標準」では起動後一時的に室温が上昇し、その後外気温の低下と、湿度の安定に伴う運転時間の減少によって室温が減少しています。 対して、「しっかり」ではまっすぐ低下しています… が、これはたぶん外気温の違いによるものですね。
運転モードによる室温の差はあまりなさそうです。
相対湿度
運転開始1時間でぐっと湿度をあげています。
そしてなぜか「標準」よりも「ひかえめ」の方が相対湿度が高くなりました。え〜
絶対湿度
こちらも運転開始1時間でぐっと上昇していることが確認できます。
そして「ひかえめ」が「標準」と「しっかり」よりも絶対湿度が高くなるという謎現象が確認できました。え〜〜
ちなみに非常に寒い場合だと、相対湿度が高くなったとしても絶対湿度9g/m³を優先して加湿するっぽい挙動を確認しています。
消費電力量
電源を入れてからn時間後の消費電力… にしたかったんですけど、電源を入れた時間がばらばらなので最初の1時間はイマイチ参考にならないかもしれません。 スマートプラグがあんまり融通効かなくてですね…
開始時間を加味する(「標準」が10分ほど早い)と、「ひかえめ」と「標準」の消費電力量はほとんど同じで、「しっかり」は1.2倍くらいかなーといった感じ
電気代にすると45円くらい。 結構しますな〜
消費電力
起動後30分は940Wほど消費し、その後は400Wと0Wを行き来していました。
ドライヤーや電子レンジとタイミングがかぶると、ブレーカーが落ちる可能性がありそうですね。
考察
予想とは大きく異なり、「ひかえめ」が「標準」を上回り、「しっかり」も高いんだかよくわからないという結果になりました。
このようになった原因として考えられるのは 2つ
まず、僕の部屋が木造4.5畳であること。
小さな部屋なので熱容量が小さい上木造なので熱が逃げやすく、外気温の影響を大きく受けてしまったようです。
そして、センサーの場所が下すぎること。
熱の影響を抑えるためなのか、センサーの場所がすごい下の方にあるのです。
実際、使用中本体上側はだいぶあったかくなる(ゆたんぽくらい)のですが、下側はほんのり温かいくらいで済みます。
センサーが下すぎるために加湿された空気がうまく届かず、僕たちが触れる空気とは違ったデータに基づいて制御されてしまい、このような結果になったのかもしれません。
鉄筋コンクリートの広い部屋でサーキュレーターを回しながら計測すればちゃんと結果が分かれそうです。
しかし、ほとんどの家庭ではそこまでしないでしょうから、自動モードの選択は 好きなのを選べばいい という結論になりそうです。
結局体感湿度の謎は解けませんでしたね…
謎は残ったままですが、インフル対策に必要な絶対湿度9g/m³を保つように運転してくれてることがわかったのでよしとします。
僕みたいに風邪をひいてからでは遅いので、迷ってる方は早めに決断しちゃっていいかもしれませんよ!
今年から小型のやつも出たみたいです。 色合いも可愛くていいですね。
もっとも、今はプレミア値が付いているので買えるのは来年になりそうですが…
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